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焼酎の「甲類」と「乙類」


全てのお酒は3つに分類することが出来ます。

1.醸造酒
  (ex.ビール、ワイン、日本酒)
2.蒸留酒
  (ex.ウイスキー、ウォッカ、ブランデー、ラム、焼酎)
3.混成酒
  (ex.コアントロー,クレーム・ド・カシス・カンパリ)

焼酎は上記のとおり、蒸留酒に分類されます。


小学生の理科で習ったとおり、蒸留とは過熱し蒸発したものを冷却して集めることを言います。
アルコールは沸点が78.325℃。水はご存知のとおり100℃です。
蒸留による酒造は、アルコールと水の沸点の違いを利用して、より純度の高いアルコールを集めることが出来ます。
そのため蒸留酒はアルコール度数の高いお酒になります。


焼酎の「甲類」と「乙類」

連続蒸留機(パテント・スチル)で蒸留して、高純度エチルアルコールを生成し、
これに加水したもので、アルコール度数が36度以下のものを「甲類」。


米、麦などを原料とし、単式蒸留機(ポット・スチル)で、一度だけ蒸留する
日本在来の伝統的な手法で造った、アルコール度数が45度以下のものを「乙類」といいます。


単式蒸留は単式蒸留機で行います。単式蒸留機は大きいポットのようなもので、仕組みも単純です。
連続蒸留は連続蒸留機で行います。連続蒸留機は工場のような大きい仕掛けで、
連続してもろみ*1を投入することが出来ます。


単式蒸留はその原料の風味が活かされ、連続蒸留はアルコールの純度が高く、クリアな味わいが楽しめます。


「単式蒸留機」と「連続式蒸留機」
乙類焼酎を造るのに使う「単式蒸留機」は、ウィスキーやブランデーなど、世界中の伝統的蒸留酒のほとんどで使用されている装置で、
原料に麹(こうじ)を使って糖化し発酵させたアルコールを含んだ液体を、
加熱・煮沸させて、出てくるアルコールや揮発成分を含んだ蒸気を冷やし凝縮させます。
単式蒸留機で一度だけ蒸留しますので、原料の作り出す風味をあますことなく引き出してくれます。



甲類焼酎を造るのに使う「連続式蒸留機」は、原理的には単式蒸留機をいくつも重ねたもののことです。
蒸留する操作を何回も繰り返す事によってアルコールの純度が高くなります。
明治時代にヨーロッパより導入され、それ以前の伝統的な製法では不可能であった
高濃度で不純物をほとんど含まないアルコールの抽出が可能となりました。



「常圧蒸留」と「減圧蒸留」

さらに蒸留には圧力を下げて行う減圧蒸留と、そのまま行う常圧蒸留があります。
圧力を下げることにより低い温度で沸点に達するために、焦げ臭などがつかず、よりマイルドな口当たりになります。
くさみや癖を抑えられて飲みやすくはなりますが、その反面味わいは弱くなってしまいます。
現在の麦焼酎のほとんどがこの減圧蒸留で造られています。
というのは一昔前は焼酎は「くさい」というイメージが強かったためにこの作り方が広まりました。
事実大ヒットとなった「いいちこ」や「二階堂」はその典型的な例です。


しかし最近では焼酎へのイメージも変わり、消費者も味覚が肥えてきたため、
より個性のある味わいが求められるようになってきているので、
風味や味わいを重視した、常圧蒸留の麦焼酎がどんどん増えてきています。
ちなみに、芋焼酎は独特な個性を残すために、ほとんどが常圧蒸留で造られています。

*1:もろみ(醪・諸味とも書く)は、醤油・酒などを作るために醸造した液体の中に入っている、原料が発酵した柔らかい固形物のこと